第1クール第5日 吐き気対策

制吐剤イメンドカプセル
入院して最初の週末。外来診療もなく、病棟もどこか静か。お昼時には、いつも混雑する最上階のラウンジも今日は人が少なく、ぼくは窓側のカウンターに座って外を眺めました。久しぶりに降っていた雨はすっかりあがり、薄日の差す大橋川では、練習をしているレガッタのわきを遊覧船が追い越していきました。外の風景を見ているだけで、心が楽になります。今年に入り、この高さから見下ろす、宍道湖や市街にどれだけ癒されてきたことでしょう。

むかついた胃をかかえながらも、こういった場所で食べるならもしやと、売店で買ってきたサンドイッチをつまんだところ、これがすんなり食べらました。朝も昼も病院食、とくにご飯にほとんど手が付けられなかっただけに、自分でも驚きました。少量ずつつまめることや、やや冷たいのがよかったのかもしれません。これなら、お寿司とかもいけるかもしれません。後日挑戦しようと思いました。

もっとも、食べてしまってから猛烈な胃もたれがやってきて、しばらく動けませんでしたが、戻さなければこっちの勝ち。少しでも栄養になればいいのです。

抗がん剤による吐き気はよくある副作用なので、インターネットで調べてみると皆さんいろんな工夫をされているのがわかります。こういうときは、病院食に限らず食べられるもの、食べたいものを食べるのがお勧めだそうです。温かいものより冷たいもののほうが食べやすいとか、薄味よりも濃い味の方が食べやすいとかあるようで、中には病院食は食べられなくてもカップ麺なら食べられるとか、カレーライスなら食べられるとか言われる人もいて、なるほどと思いました。

そこで、ぼくもただ食べられない、気持ち悪いばかりじゃいけない、せっかくの機会だし、いろいろとやってみることにしました。あえて売店でサンドイッチを買ってみたのもそのためです。病院には悪いけれど、食べられそうなものを、いろいろ試してみようと思います。

また今日から、イメンドカプセルという吐き気止めの薬も出されました。このイメンドという薬も割と最近使われるようになったもので、抗がん剤特有の遅発性嘔吐に対する制吐剤として効果が高いそうです。「最近はいい薬がありますから、副作用はだいぶコントロールできますよ。10年前とは違いますよ」と事前に聞かされていましたが、こうして、ここ数年のうちに使われるようになったいろいろな薬を処方してもらえるのはありがたいことです。この薬を飲んでも、完全に吐き気もなくなり、食欲が湧いてくるというものでもなく、常に胃のむかつきや喉のもやもやが残っている感じはしますが、予想していたよりもはるかに楽に生活できそうです。

抗がん剤による吐き気は、物理的な反射とかではなく、脳内の反応からくるものだそうです。だから気持ちを楽にして過ごすことも大切なのだと思います。いい景色を見ながら食べられそうなものを食べる、それがいいのかもしれません。

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