入院したのが4月1日でしたから、月が変わると入院生活が丸一ヶ月過ぎたのだと実感できます。あれだけ身体につながっていた管は、少しずつ取れていき、最後の尿管カテーテルも今日、外れました。どうしたわけかお腹が張って、胃腸の調子が今ひとつではあるのですが、全体的には順調な回復をしているようです。
思えば、ひと月前、手術から帰ってこられるだろうか、成功するのだろうか、回復するのだろうか、転移はないのだろうか…、頭のなかをいろいろな不安がうずまき、鬱々とした毎日を過ごしながら手術日を迎えたのを思い出します。
恥骨あたりからへその横までばっさりと腹を割って、腫瘍のある膀胱を取り出してしまい、小腸を何十センチも切り取って袋を作り、膀胱のあったところにおさめて尿を通すという手術は、ぼくなんぞ素人目には大変な手術で、よくもまあそこから回復できたものだとおもいます。もちろん、ここまでになったのは自分の回復力だけではありません。
手ぶらで廊下を歩いていると、出会う看護師さんがみな「抜けましたね〜、よかったですね〜」と声をかけてくれます。看護師さんたちが身の回りのすべての世話をしてくれたことが思い出されて、こみ上げるものがありました。主治医の先生にしても、毎日毎日、それが休日だろうが、手術日だろうが回診をしてくれます。いったいいつ休んでいるのかと思うくらいです。もちろん家族も。嫁さんはぼくのかわりに朝早くから夜遅くまで仕事をし、子どもたちの面倒を見、その上に毎日見舞いにきてくれます。たくさんの人たちに支えられてようやくここまで回復できました。
尿管カテーテルが外れたことで、この入院も最終フェーズに入ってきました。新膀胱からの排尿がどうしたらうまくいくか、排尿トレーニングをしていかなくてはなりません。管が取れてからというもの、恥ずかしい話ですが尿漏れが多く、気がめげます。身体を捻っては尿漏れ、咳をしては尿漏れ、時間が経って膀胱にたまってくると尿漏れ…。まだ初日だし、めげてはダメよと看護師さんは励ましてくれます。ぼくも頭ではわかっているのですが、やっぱり実際にオムツの中に尿が漏れると気が滅入るのです。
今はまだ新膀胱の容量も100ccほどらしく、排尿も約1時間おきに50ccといったところです。新膀胱が大きくなって、この排尿間隔が長くなり、尿量が増えてくるのが次の目標になります。これが最後にして最大の難関ですが、克服すれば退院につながります。初めての感覚に戸惑っていますが、もう少しの間がんばりたいと思います。
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