まるで決まっていたかのように

病室から宍道湖を望む
結露に滲む窓ガラスの向こうにまだ明けきらぬ街のあかりが見えます。起きなくてもいいのに、早い時間に起きだしてしまいました。

昨日、ぼくは日常を離れ、カーテンに囲まれた部屋に入りました。そこには鉄のパイプでできたベッドと、収納をかねた引き出し型のテーブルがひとつあります。テーブルについて視線をあげると、南向きの大きな窓があって眼下に松江市街が広がっています。日中は穏やかで、太陽が出るとその光は部屋の奥まで差してきて暑いくらいでした。夕方になるとにわかに曇って、山々が霞んでいます。よく見ると窓辺には白い雪が舞っていました。

窓がよく見えるようにテーブルには斜めに腰掛けると、ちょうど体は南東方向に向いて、正面にひとつ小さな山が見えます。その山は低い山ですが、結構市内のあちらこちらから望むことができ、それを見るとほっとします。我が家はその麓にあるからです。ちょうど正面にその山が見えることで、なんだかうちとつながっているような気がします。

人生には様々な出来事がありますが、自分の意志だけではどうにもならないことは突然やってきます。あとからふりかえると、そうあることはあらかじめ決められたようにそこに配置されていたのだと思うことがあります。それらがうまい具合に折り重なって、今の自分になっているのだろうと思います。

きっと今がそうなのでしょう。ぼくはまるで当然であるかのように病院のベッドにおります。淡々と看護師さんやお医者さんの説明を聞き、必要なことはこちらも聞き、メモをしています。モバイルルーターでPCをつなぎ会社とやり取りをしながら、仕事の指示を出しています。準備は本当にすんなりできました。なにもかも不思議なくらいすんなりと。まるですべて決まっていたかのごとく、予定調和ではないかと思うほどに。

今日ぼくは手術を受け、その後数日は不自由な生活を強いられるのでしょう。今こうしてキーボードを平然と叩いているのが不思議なくらいです。

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