卒園式

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線路沿いにある倉庫だか住まいだかわからないような小さな家に住んでいて、そこにあった白黒テレビで「てなもんや三度笠」を見た。それがぼくの一番古い記憶です。Wikipediaによれば放送は1968年までの放送だったので、2歳の時の記憶でしょうか。そんなに小さかったかしらという思いもしますが、住んでいる年代は一致しているようです。

しかし、小さい頃の記憶というのは断片的です。次の記憶は保育園で鯉のぼりを作ったこと。幼稚園でもほとんど記憶にありません。卒園するようになって、ぼくだけが違う小学校に行くことになり、がらんとした教室がとても寂しかったこと。幼稚園の先生が大好きで、その先生とお別れするのが悲しくて泣いたことを覚えているばかりです。小学校に行くようになってその先生のお宅へ訪ねていったこともあるから、そういうことは覚えているのかもしれません。

下の子は昨日、卒園式を迎えました。入園した時にはまだおむつもとれていなかったのに、今日はしっかりと返事をして修了証書を受け取るその姿を見るのは、親として大変感慨深いものがあります。それは、携わってくれた先生も同じでしょう。

担任の先生は4年前に実習生としてこられて、正式な教員となり受け持ったクラスのはじめての卒園でしたし、その感慨もひとしおだったのでありましょう。子どもの名前を読み上げる時、感極まって言葉を継ぐことができなかった姿もまた涙を誘うのでした。

一方で子供たちはハキハキと受け答えをしていました。三学期に入って発表会が終わってからはずっと卒園式の練習をしてきたのだから、それをきちんとこなすことに全力を尽くしているのでしょう。そして、彼らには今までの思い出よりも大きな未来が待っているのですもの。感傷に浸るよりも希望の方が大きいのですもの。

自分の小さい頃の記憶の曖昧さを思えば、うちの子供たちが大きくなった時に、この日を覚えているかどうかも定かではないのだろうと思います。だから、父ちゃんは、若くても優しくて全力で向き合ってくれた先生のことや、一緒に遊んでくれた友達のことや、芝生のグラウンドで自転車に乗れたことや、がんばって跳び箱を8段飛んだことを覚えておこうと思います。

足掛け5年にわたったぼくらの子育て幼稚園編もこれで終わりました。小学校にあがればあがったで、上の子は課題にぶちあたっていますし、これからも色々あるのでしょうが、次の6年もあっという間なのかもしれません。

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