このところたまっていたメールやフィードを消化していたら日経メディカルオンライン(要登録)にこんな記事がありました。
日本人CMLのイマチニブ治療でCMRが24カ月以上あれば投薬中止しても無再発生存率が高い可能性【血液学会2011】:日経メディカル オンライン
慢性骨髄性白血病(CML)はイマニチブ治療薬(グリベック)によって、劇的に急性化を抑えることができるようになりましたが、患者にはその薬代が大きな負担です。だいたい一ヶ月で10万円程度はします。ぼくは二ヶ月に一度の診療ですから、どーんと20万円がクレジットカードから引かれていくのを見るのは心臓に悪い(^_^;)。もちろん社会保険の高額療養費制度を利用すればあとからだいぶ返ってくるのですが、それでも何万円もの負担は大きいものです。もし薬をやめることができたらどんなにいいでしょう。
期待して読んだ、その内容ですが…
研究グループは、CML慢性期の患者でイマチニブ治療を少なくとも6カ月以上中止した患者の特徴を調べる目的で、780施設に調査票を送り、23%にあたる181施設から回答を得た。イマチニブの投薬を受けたCML患者3242人のうち、1.5%にあたる50人がイマチニブによる治療を少なくとも6カ月間中止しており、そのうち43人について解析が行われた。
ということでサンプルが少し少ないのが気になるところではありますが、その結果はこうあります。
イマチニブ中止期間の中央値は23カ月(6-98)。19人(44%)の患者が再発したが、17人の患者はチロシンキナーゼ阻害剤の再投与を受け全員が回復、移行期・急性転化には移行せず、全員が生存していた。イマチニブを中止してからのCMR率は約80カ月時点で47%だった。
CMRの期間が24カ月以上あった患者では無再発生存率78%でカプランマイヤー曲線が水平になったが、24カ月未満の患者は15%で水平になり有意(p=0.002)な差があった。
再発が44%じゃ高くてだめじゃん、と思いましたが、再投与をすると回復するようですし、血液学的寛解(CMR)が2年以上の場合なら8割近くが無再発とあります。ぼくはグリベックが非常によく効いており、すでに数年血液学的寛解状態を維持しています。これは期待できるのか?
ちょっと調べてみると、おそらくこの発表を受けた臨床試験が来年から行われるような感じでもあります。どうなんだろう、今はあくまで「可能性」の段階なんだけど、サンプルが多く集まっていい結果になれば、薬をやめることができるようになるのでしょうか。薬をやめる、ということはついに白血病は治癒できるものになるということなのでしょうか。
ただ、昔やっていたWebサイトでも書いたのですが、確率論ではなかなか割り切れないのが病だと思うんです。どんなに有効性が高い薬でも合わなかったりする人はかならず一定数います。患者にとっては確率よりも、自分にとっていいか悪いか、100%か0%か常に二択しかありません。どのリスクを取るかというのは、患者本人が責任を持たなくてはなりません。
どうしたものか、今度の診察で率直なところを聞いてみたいと思います。
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