思いもがけず、先月の26日の深夜から入院しています。
最初は食あたりか何かと思っていましたが、三日目にしてもなかなか高熱と腹痛が治まらないので救急外来にかかりました。ちょっとあごひげをかっこ良くはやしてメガネをかけた若い担当の内科の先生は「盲腸じゃないんですか?」と言って、自信あり気にニヤリとしました。盲腸とは不覚でしたが、これならたいしたことないなと思いました。ほら、薬で散らすとかよく聞くじゃないですか。
ところがその先生は否定します。ひとつに血小板の数値が低いこと。これは確かに普段から薬を飲んで落としてあるので、仕方ありません。もうひとつはすでに腹痛から三日経過し、他の臓器に癒着してしまっているかもしれないと。そこで手術を勧められました。
手術は仕方ないとしても、もう深夜だしどうせ翌日の日中だろうから家に一度帰りたいと言いましたがそれも許されませんでした。脱水がひどかったのであっという間に点滴をつけられ、腕にタグをつけられ、造影剤を入れたCTを撮られ、虫垂炎の診断が確定し、手術の同意書が回ってきました。
登場したのは四角いメガネをかけた眉毛のキリっとした消化器外科の先生で「いつ手術をするんですか」と聞くと「今からやります」と。「いやもう深夜も11時なんですが…」「それでもやります」とキリッと言われ、局部麻酔の説明やらなんやらを受けて、看護師さんに下の毛を剃られ、病衣を着せられてベッドに載せられて手術室に入りました。
その外科の先生ともう一人少し年配の先生と看護師さん二人で手術となりました。腰に麻酔を打たれて、足の感覚がなくなったところでお腹にメスが入りました。まあ最初はチクチクした感じがするだけだったのですが、なかなか患部が取れないとみえ、次第に胸のあたりがぐっと下に引っ張られる感じになって、気持ちが悪くなってきました。そのうちだんだん麻酔も切れてきたのか腹部も痛くなり、看護師さんに頭をなでられつつ「リラックスして」とは言われるのですが、ちょっと触られるだけで、ぐっとお腹に力が入ってしまう始末。とうとう最後には年配の先生が「全麻にしましょう」とおっしゃいました。ぼくも正直言って死ぬほど痛かったので「早く眠らせてください」とお願いしました。身長、体重を聞かれその場で答えて麻酔を決定するという超適当な全身麻酔だったとは思いますが、ゴムキャップをかぶせられてしばらくしたらまったく記憶がなくなりました。
次に「終わりましたよ」と呼びかけられて朦朧としながら「今何時ですか」と聞くと「2時半です」と誰かが答えてくれました。少しずつ意識が戻ってきて、ぼくは手術室を出されて病室にいて、顔には酸素マスクをかぶされて、胸には心電モニターをつけて、左腕には点滴が入って、右手には酸素モニターがつけられ、さらに尿管カテーテルを挿入されているという管だらけの姿でベッドの上にあったのでした。
気がつくと仕事があるからと帰した嫁さんがそばにいました。さっそくiPhoneをもらい「生還した」とつぶやきました。生還という言葉が実にしっくり来る感じでした。たかだか盲腸だったのですが、まったくあなどれない緊急入院劇ではありました。
◆◆
今回経過をできるだけ残しておこうと逐次twitterでつぶやいたところ、フォロワーの皆さんから多数のお見舞い、励ましのお言葉をいただき本当にありがとうございました。お陰さまで大いに力をいただき、入院生活も寂しくありませんでした。ブログでもお礼を申し上げておきます。
関連しているかも?:
- 退院一週間で全快。 (2011年2月16日)
- 手術日の記憶 (2013年4月9日)
- 入院ひと月 (2013年5月2日)
- 夏目漱石「思い出すことなど」 (2013年2月3日)
- 今回の入院までの経過 (2013年2月16日)
改めて読むと、生還できて本当に良かったと感じます。
おかえり。