雪かき

雪かき
今年は暖かい正月で、暖冬かと思いきや、季節はしっかり帳尻をあわせてきて、1月末に続いて今回も積雪になりました。山間部や北陸東北の方からすれば申し訳ない程度の積雪ではありますが、普段雪なれしていないぶん、10センチも積もれば通行に支障が出ます。来客確保のためには雪かきをしなくてはなりません。

昨日も今日も開店前の夜も明けやらぬうちに雪かきをはじめます。雪かきはもっぱら体力勝負。幅の広いプッシャーや、大小様々なスコップを駆使して、車が通ることができるくらいまでは雪を掻き分けます。

まだ誰も踏みしめていない真っ白な雪は柔らかく、スコップを入れると豆腐のように切り出すことができます。ただ手元のスコップではほんの小さな面積の雪をすくえるだけです。何度も何度もそれを繰り返していきます。

雪を掬い、じゃまにならない場所に放り投げ、そしてまた雪を掬う。一回動作するごとに、腰が重く、腕はだるくなる。息があがり、汗が出る。でも雪を放り投げた後に、目の前にかたまりがあるとなぜだかもうひと掻きしてみようと思う。

しまいにはだんだん何も考えず、ただ目の前の雪をひたすら放り投げていくようになります。そうしてふと振り返ると、それなりの面積の雪を掻いてきたことに気づきます。

ただひたすらに目の前のことに集中して、そこに何かを期待するでもない。つらいようであってもつらくはないし、といって楽しいものでもなく、ごく当たり前のようにやるべきことをやって、ふと気づくと何かを達成していることを知るなんていうのは、なるほど雪かきというのは、今時流行りのマインドフルネスではないかとも思います。

そして雪はやがて溶けてなくなってしまうというのもまた良い。確かに雪山を築くのは雪を一生懸命掻いた証ではありますが、いつまでもそれが残っていても困るわけです。人も何かを達成したからと言って、それを後生大事に記念として抱えていては、自分を縛る枷になるでしょう。「オレの現役の頃はなあ…」などという老害爺にはなりたくないものです。

してみると、雪かきとは人生の縮図であるともいえましょう。なんと奥深い作業でありましょうか…。てなことを思わないととてもやってられないというのはありますがね…。

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