DayOneというMacとiOSで使える日記アプリがありまして、以前はこれで日々の出来事を記録していました。このたびメジャーアップデートするというので、新しいのを買うかどうかはともかく、すべてのデータを取り出しておくことにしました。
このアプリはわりときれいなフォーマットで簡単にPDFに出力してくれるのがいいところ。これまでのデータはA4サイズで512ページになりました。一番使っていたのは3年前の入院時で、手元にあるiPhoneでとにかく記録をつけていたのでした。そのころ書いていたものをあらためて読みなおすと、どのような思いで手術に臨んだのかありありと思い出すことができます。
入院前にはこんなことを書いていました。
2013年3月27日水曜日 20:09
出征前の若者はこんな気持ちだっただろうか。大なり小なり自分の人生に落とし前をつけて戦争へといったのだろう。ぼくはそして必ず負傷して戻ってくるわけだ。
手術後には、身体的、精神的苦痛が、自分の人間性について試みるだろう。その時ぼくは何を感じるだろうか。怒り、嘆き、絶望し、あるいは嫉妬し、ありとあらゆる負の感情が襲ってくるだろう。
このころは、自分の考え方、生き方が手術によって変わってしまうのではないか、本当に苦しい時に自分がどうなるかわからないという不安を感じていました。けれども手術日にはそういう気持ちが失せて、淡々と臨んで行ったようです。手術直前には、泣き言を書いていませんでした。
2013年4月4日木曜日 7:26
朝の採血で起こされるまで寝てた。睡眠時間は十分だ。Macを取り出してインターネットでのリプライに返事を出す。懐かしい人からもメッセージをいただいて感激した。
髭をそり、歯を磨き、身だしなみを少しでも整えていく。あとからシャワーも浴びるつもりだ。
ふと尿意を覚えてトイレに行く。この感覚が今日を限りに永遠に失われるのだと思うと切ない。たかがトイレなのに。今日、切り取られるとも知らず、きちんと生体反応をしている膀胱が健気でもある。
何年も経ってから、自分の書いたものを読み返すと新鮮な感じがします。こうしてすぐに過去にアクセスできるのは、デジタルデータならではのことで、なかなか良いなと思いました。
退院後は、ノートに手書きで日々の記録をとるようになり、だんだんDayOneを使わなくなっておりました。確かにアナログでの記録は、良いものです。手を動かして書くことで思考が整理されていく感覚は、ノートに手書きでなければ感じ得ないものだと思います。
しかし、あとから検索したり参照したりするのに便利なのは、圧倒的にデジタル記録なんですよね。何百ページもあるデータから目的の言葉だったり、日にちだったりにほんの一瞬でたどり着けるのですから。
こうした日々の記録はできるだけ一つにまとめておきたいものです。そうなると、デジタルで記録すべきか、アナログで記録すべきか、はたと迷うのです。手書きは手書きの良さがあり、電子データは電子データで良さがあるんです。どうしたものかなあ。
ちなみにDayOneアプリの販売元はこちら。好きなアプリなんでぼくは購入しましたが、気軽に買えるお値段ではなくなってしまったのが残念です。また、現段階ではiOSとMacとの同期にも難があるように思われます。
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