子供が部活をやめたいと言うとき、どうすればいいのだろう

小学校5年生の長男が、サッカー部をやめたいと言い出しました。

今年の5月に左肘を骨折し、治療を続けていましたが、肘のワイヤーを抜く手術も終わりました。もう運動しても差し支えないとお墨付きをもらったのですが、サッカーに向かう気持ちが萎えてしまったようです。先日、泊まりがけの合宿を見に行った嫁さんによれば、見ていて腹が立つくらいやる気が感じられなかったそうです。コーチも全然メンタルがあがってこないと嘆いていたそうです。

長期間練習ができなかったので、体力的に厳しいことは間違いないでしょう。合宿から帰ってきたとき「体力的な衰えはまた練習を積み重ねれば回復できるのだから、気に病むことはない」といいました。しかし、そればかりではないように思います。

小学校5年生にもなれば、個々の技倆ももちろんですが、それ以上にチームプレーとしてのサッカーが求められるようになってきます。最終ラインの上げ下げや、広い視野をもったボールコントロール、チームメイトとのアイコンタクトでのパス回し。人とのコミュニケーションに難がある長男にとっては、それらは難しいことに違いありません。

それならばせめて、自分の技倆を高めるための練習をすればまた違うのですが、それもしない。当然、チーム内の評価は低くなってきます。二軍に定着し、その中でも自然とパスは回ってこなくなり、試合で孤立する場面が増えれば、本人もおもしろくないでしょう。

コーチも親も、そこからの奮起を期待しているわけですが、本人はあきらめや失望の気持ちが強く、心が折れてしまっているように見えます。

今日もサッカーの準備をせずに登校していこうとしました。準備をしろとはいわずに「サッカーをどうするか」と聞いてみました。すると案外あっさり「やめる」と言いました。あんまりあっさりするものだから、こっちがかえって焦ってしまい、「もう一日考えてみよう」というのが精一杯でした。あっさりやめるという割には、外国チームのレプリカユニフォームを着て学校に行こうとするのです。サッカーにまだ未練があるのでしょうか。

親としてどうやって彼を導いてやればいいのでしょう。励ましてサッカーを続けさせた方がよいのか、それとも今の気持ちを優先してやめさせるべきか。

続けさせたい理由は二つあります。

一つには、やり始めたからには中途半端に投げ出して欲しくないというのがあります。別にレギュラーになれなくてもいいけれども、小学校を卒業するときに、サッカーだけは全力でやりきった、という感覚をつかんでもらいたいと思うのです。今二軍に甘んじ、それで腐ってやめてしまっては、応援する人もいなくなります。そこから上をめざしてがんばっている姿が、他人の気持ちを動かすことができ、自分の自信にもなるんだ、ということをわかって欲しいのです。

もう一つ、今まで彼の唯一のよりどころでもあったサッカーをやめてしまうと、学校内で居場所を失うのではないかということです。多くはコミュニケーションが上手く取れないが故の、度重なる人への暴力や器物の破壊、ちょっとした刺激でのパニックなどで、学級内では浮いた存在となりつつある長男。その彼の、唯一の楽しみがサッカーでした。サッカーを通してまだ、友達と繋がっていることができたのです。しかしそれも危うくなったとしたら、彼にとっては、もはや学校にいることそのものが苦痛になることでしょう。最悪、学校に行かないと言い出すかもしれない。

しかしやめさせた方がいいのかもしれないと思う理由もあります。

本人がサッカーをやめたくても、親が励ますばかりにやめることができなくなれば、孤独や挫折を一人で抱え込んでしまうことになるでしょう。誰にも助けを求められず、ひとりぼっちになってしまう感覚はつらいものです。その気持ちを将来に引きずってしまうのであれば、サッカーをあきらめた方がいいかもしれない。何もサッカーのチームメイトだけが友達というわけじゃない。新しい環境に導いてやって、そこでまた出会いがあり、興味がわけばいいのではないか、とも思うのです。

正直、どうすればいいか、ぼくが誰かに頼りたいくらいです。でも正解はないのでしょう。誰も責任を取ってくれるわけじゃない。ぼくにできることは、長男と真剣に向き合って、一緒に悩みながら道を探ることだけです。

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