アスペルガー症候群の我が子をどう導いていくべきか

我が家の長男は、高機能広汎性発達障害、名の知られた言い方でアスペルガー症候群と言われる特質を持つことは、これまでにも何度か書きました。

知能的に問題があるわけではないけれども、社会適応能力に問題があるこのような児童に対して、今の小学校では、特別に担当教諭をつけてもらったり、必要であれば別室での個別指導をしてもらったりと、たいへん手厚く支援をしていただいています。

今、学校では無理矢理に教室にとどめようとしたり、全体集会に参加を無理強いするようなことはありません。強権を持って従わせる行為が、パニックなどの二次障害を引き起こす可能性があるからです。個別指導や、教室内では彼に負担のかからない程度の役割分担などをさせて、彼の日常生活に少しでも自信を持たせ、よいところを伸ばそうという方針で臨んでいただいています。

しかし、授業に参加できないことも多く、いかに地頭がいいといっても中学年にもなれば、次第に学習についていけなくなってきているのも事実です。学習に対してのやる気のなさ、理解することを拒絶するような態度は、身近に見ていると本当に心配になります。基礎的理解ができなくなると、それが悪循環となって、ますます学習が苦痛になっていくようです。

アスペルガー症候群の子どもにとっては、自分の興味が持てないことに集中して取り組むことは普通の子ども以上に難しく、苦痛ですらあるそうです。物事の全体像や因果関係が把握できないので「がんばる」のは何のためかということが理解できず、がんばること自体が無意味に思うのです。彼が学習を拒否するのは、その必要性を認めないからなのでしょう。

そうはいっても、学習が遅れていくのを甘んじて受け入れることは、親としてなかなかできないという思いもあります。小学校ではまだ手厚い支援もありますが、中学、高校になればこのような支援は受けられなくなるでしょう。授業について行けず、社会適応能力も劣るとなると、将来どうなってしまうのかと不安にもなります。

普通の子ならば「勉強しなさい!」の一喝もありでしょうが、彼にとってはそれが強迫となり二次障害の原因ともなってしまいます。普段の意思疎通は問題なくできるので、心を込めて語り合えばきっと理解して「がんばって」くれるのではないかと思ってしまいます。でも、現実は難しく、一緒にやろうとしている夏休みの宿題も、まったく進まなかったりします。

これまでぼく自身、発達・教育相談支援センターで相談に乗ってもらったり、医療機関にかかったり、学校との面談を繰り返しながら、彼の特質について勉強もし、理解もしようとしてきました。そして、いろいろな人にどうすればよいのか助けを求めようとしました。

しかし、彼の何が問題なのか、どういう障害なのかは、みな同じ認識であるけれども、どうすればそれがよくなるのか、ということは示してもらえません。人によって症状の程度が全然違うので、彼にとっての最適解は、誰もがわからないのです。学校の今の支援も手探りであるし、なかなか精神障害までとは言い切れないので、医療の手立てもありません。

この先、社会適応能力をある種のルールとして身につけていく作業療法をする必要があるかもしれません。集団の中での気持ちを落ち着けるため、薬物療法をする必要があるかもしれません。最悪、普通教育をあきらめるのが彼にとって幸せなのかもしれません。

彼をどう導いてやればいいのか。

子どもの将来は無限です。アスペルガー症候群特有の、物事にこだわる特性を活かせば、何かをきっかけに大きく伸びるのではないかという期待もしてしまいます。そこで普通教育をあきらめたり、枠をはめて可能性を阻んでもいいのだろうかという思いもあります。

その一方で、このまま放置をして、社会不適応をこじらせれば、引きこもりや鬱症状が出たり、あるいは社会に対しての極端な攻撃性が表れるかもしれません。そのためには早めに自分をコントロールするための治療を行うべきなのかもしれません。

どうするにせよ、最終的には親である自分の責任をもって、彼を導いてやらねばならないのでしょう。彼を最終的に「保護」できるのは、文字通り保護者であるぼく自身でしかないのです。

彼が将来、社会的にある程度適応する能力をもち、平穏に暮らしていけるまで導いてやりたい。ただ、ぼくには彼の成長を見守るだけの時間が残されていないかもしれない。本当は長い目で、もっとゆったり構えるべきことかもしれないけれど、その焦りもあって、日々煩悶しているのです。

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