病院で何をすることもないときは、ひたすら読書するに限ります。ここまで長く入院することになるとは思いませんでしたが、2月の入院前にKindle Paperwhite
を買い、大いに活用できているのは、ぼくにしては珍しく良い買い物をしたように思います。ぼくのKindleには、今50冊くらいの本が入っていて、つまり入院してから50冊くらい読んできたことになります。近年は書店に行っても、なかなか紙の本を買うことも少なかったのですが、Amazonでは結構本を買ってしまっていて自分でも少々驚いています。
入院中でもインターネットに繋いだ時にはAmazonに立ち寄ってはKindle本のコーナーを見ています。品揃えはまだまだ感がありますが、まだ読んでいない有名所が電子書籍になっていたりすると、値段も割安だったりしてついついポチってしまうんですよね。そうすると、あっという間に手元のKndleに本が転送されて読めるようになっているのです。
この入院ではぜひとも読みたいと思って吉川英治の三国志を買いました。ぼくが買ったのはお馴染みの講談社版で、文庫本にして8冊分が合本になって950円。安いこともあるし、それだけの本があっさりKindleの中に入って読めるのです。今回入院してから読み始めましたが、あっという間に読み終えました。吉川英治はちょうど著作権が切れたので、今後続々と青空文庫などにも収録されていくでしょう。長編も多いので楽しみでもあります。
あとは近藤史恵のサクリファイスも前々から読みたいと思っていたのをセールで買ったのですが、面白かった。自転車ロードレースのあの独特の駆け引き、エースとアシストの役割分担など素人目にはなかなかわかりにくいものですが、そこらへんは丁寧に書いてあって、わかりやすいです。エースである石尾のあまりのストイックさに、そんなことあるわけないだろうと思いつつも、読後は爽やかなものが残りました。
クリストファー・マクドゥーガルのBORN TO RUNも紙の本に比べると圧倒的に安いので買っちゃいました。著者がランニングをするとなぜ故障するのかということを出発点として、伝説の走る民族タラウマラ族にたどり着き、彼らと著者をつなぐ「白馬」と呼ばれる男との出会いや彼らとの感動的なレースを書いたものですが、途中で人間は走るために進化してきたことや、最高のランニングシューズが故障を引き起こす最大の原因であることなどを解き明かしていきます。ぼくが今こういう状態だからか、文中のとある博士の弁が印象に残りました。
西洋における主な死因−−心臓病、脳卒中、糖尿病、鬱病、高血圧症、十数種類の癌−−のほとんどを、われわれの祖先は知らなかった。医学もなかったが、ひとつ特効薬があった−−(略)「ごく単純なことです」と博士は言った。「脚を動かせばいい。走るために生まれたと思わないとしたら、あなたは歴史を否定しているだけではすまない。あなたという人間を否定しているのです」
とてもウルトラマラソンには挑戦できないけれども、退院したらまた身体を動かすことをはじめたいと思いました。
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