あいかわらず食欲不振が続いています。今朝は少し胃の具合がよかったし、寝ている時にパンにかぶりつく夢をみたくらいなので、お腹も減っていたのでしょう、朝ごはんをだいぶ食べることができました。しかし、その後がよくない。激しい胃もたれが延々と続き、昼の蕎麦もほとんど手を付けることができませんでした。夕食は汁気がないおかずで閉口しましたが、持参したお茶漬けのもとを使って、ご飯を無理やり胃に流しこむことができました。もっとも今はまた胃もたれと戦っているところではあります。
途中売店でかき氷のアイスとか、酸っぱい系の飴とか買って食べたら美味いし、ジュースなどもそれなりに飲めるのですが、なかなか今回は食べられそうなものを見つけることができません。
そんな状態ではありますが、主治医から
「来週になると血液状態が悪くなるかもしれないので、今週一度帰ってもいいですよ」
と言われました。最初に思ったのは
「別に帰らなくてもいいかなあ」ということです。
帰った所で結局は寝て過ごすだけかもしれないし、ものは食べられそうにないですし。けれども、それじゃいけない、夏休みに入った子どもたちに小言も言っておきたいし、家族の顔を見ておくべきだと、気持ちを奮い立たせ、明日一日だけ、外出扱いで病院を出ることにしました。
外泊できる、外出できるというのは、患者にとって喜ばしいことだとは一概に言えないこともあります。
先日、別の先生ではありましたが同室の患者さんにも同じように外泊を薦めておりました。
「来週になると抗がん剤がはじまってひと月は退院できんので、今週は帰ってはどうですか」
その患者さんは老齢でありますが割としっかりしておられる様子、しかし、帰ることにはあまり乗り気では無さそうです。
「わしは一人暮らしだし、帰ってもなんもすることはないけん、いいですわ。病人が帰れば、親戚のもんも気を使わにゃならんし」
年をとって一人暮らしでは確かにそうかもしれないなあと思いました。病院にいれば、三食準備されるし、何かあってもすぐに看護師さんが見てくれます。そして何より、家族ではない親戚のものの手を煩わせるのが嫌というのはありましょう。すでにその患者さんにとって、病院にいることが当たり前になりつつあるのです。
入院していると、どこか自分が病気であることに納得してしまって、その生活が当たり前になってしまうことがあります。ところが、外出すれば自分のことは自分で世話しなければならない、そのとき当たり前のことができなくなっている自分に気づくのも怖い。外に出ると、世間の厳しさが身に染むのです。
外出や外泊したあとに病室に戻ってくると、寂しい気持ちと同時にほっとした気持ちが湧いてくることがあります。けれどいつか普通の生活に戻るためにはその気持を克服しなければなりません。病院が日常になってしまってはいけない。それはわかっちゃいるんだけど、なかなかねえ…ぼくも病院が日常になりつつあるのかもしれません
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