第2クール第0日 最後の入院がはじまる

病室から宍道湖を眺める
ぼくは半月ぶりに病院に戻り、再び高層病棟の一室に入りました。予定ではこれから3週の間、抗がん剤治療を行い、そしてこれが最後の入院になるはずです。

今回は幸い、窓際の一角を与えられました。外は昨日の豪雨から一転、すっきりとした青空が広がって、また夏空が帰ってきました。テーブルに向かい、顔を上げて右を向くと、遠く斐川平野まで続いている宍道湖の水面が青く輝いて見えます。西の地平はるかに白く見えるのは出雲ドームの屋根。ここからは、視程がよければそんな遠くまで見渡せます。

この城下町を刻々移り変わる景色を間近に眺められるのは、代わり映えのしない入院生活に変化を与えてくれます。窓から差し込む眩しいほどの日差しが、肌に生気を与えてくれる気がします。窓際に住まうことができるのは、まず幸先が良かった。ぜひともこの勢いで順調に治療が進んでくれたらいいなと思います。

短い期間、家に帰ってわかったのは、やはりぼくがもう少し頑張らなければいけないということでした。家のものは、ぼくの体調を慮って休むように言ってくれるのですが、そう薦める妻の顔に疲労の色が浮かんでいるのに気づかないわけにはいきませんでした。仕事も家事も子どもの面倒もすべてを一人でみるのだから疲れるのも当然です。洗い物がたまっているからといって、部屋が掃除していないからといって、どうしてそれを責めることができましょう。

ぼくも、いつまでも横になっている場合ではなかったのですが、体調もなかなか優れず、また次の入院があるかと思えば気持ちも落ちつかず、家にいる間は悶々とした日々を送っていました。それがとても悔しく思われました。

明日からは再び抗がん剤治療がはじまります。午前中の血液検査の結果、白血球、血小板とも正常、赤血球は基準値よりもずいぶん低いですが、腎機能も正常になっていました。予定通り明日ジェムザールの点滴を行い、明後日の抗がん剤はGC療法本来に投与するシスプラチンを使うことになりました。前回投与されたカルボプラチンと比較して、内臓への負担は大きいものの、血小板の低下が緩やかだそうです。

この治療を終えたなら、体力的には再び大いに弱るだろうけれども、気持ちの上ではこの病にけじめがつけられるのだろうと思います。そしてなるべく早くに家族を助けてやらねばなりません。その思いを抱いて心を強くもって、この入院生活を送りたいと思います。

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