退院して十日ばかりが過ぎ、少しずつ日常生活を取り戻そうとしています。しかし、長期に入院したツケというものか、なかなか体力が戻らず、昔のように長時間仕事をすることはまだ難しい状態です。
もっとも体力が回復しても、身体には本来の臓器ではないものがあるという事実は変えられません。排尿の感覚は、今までとはまるっきり違ったもので、腰やお腹が重くなった感覚や、あるいは少量の尿漏れがあって、それがサインということになります。だから、大人用のオムツがまだ手放せません。
日中はだいぶ上手くコントロールできるようになったけれど、意識のなくなる就寝時はそういうわけにもいかず、尿漏れがあっても寝てしまうか、あるいは寝る間を削って定期的に排尿するか、どちらかの生活です。
将来的に膀胱の容量は自然に拡張するらしく、そうなればかなり尿漏れも改善されると言われているので、それを望みに時間をかけて療養するしかないのだろうと思います。
こうした肉体的な症状の他に、今後の治療方針への迷いもまた日常生活への妨げとなっています。
がんの浸潤具合を示す値はpT3というものでした。これはがんが膀胱の内部表面だけにとどまらず、かなり深いところまで達し、もう少しで膀胱を破る寸前まできていたということを示しています。
そこで医師からは、予防的に抗癌剤治療を行ってはどうかという提案を受けています。現段階で転移は認められないけれども、もしかしたら、がん細胞が体の各部に散ってしまっているかもしれないからです。もちろん、がん細胞は膀胱内のみにとどまり、今回それを取り切ったのだから大丈夫、という可能性もあります。それは時間が経ってみなければわかりません。しかしもし多臓器へ転移したとしたら、今度は先が長くないかもしれません。
悪い可能性を少しでも低減させるならば、追加治療を受けておくべきかもしれない。ただ、その治療を選択すれば、再び長期の入院という時間的な損失と、強烈な副作用という体力的な損失を免れることはできません。そこに一番の迷いがあります。
いずれにせよ今後のことをしっかり決めないことには、今のような中途半端な生活が続きます。それにはだんだん耐えられなくなってきました。
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