いよいよ明日は手術となりました。ぼくがこれまで受けてきた手術の中でももっとも大掛かりな手術になります。経験したことのないものは、どんなに頭ではわかっていても、不安で頭がいっぱいになります。手術までに準備期間があったのは、仕事や生活に区切りをつける意味ではよかったのですが、妄想と不安とをかきたてる時間が増えたのかもしれません。
今日は、前日ということもあって術前のいろいろな処置や説明がありました。
すでに食事は手術に備えて流動食を食べてきました。腸管を切るためにできるかぎり腸内をきれいにしておく必要があるのです。五分粥をミキサーにかけてどろどろにしたものと、これも原型がなくなるほどどろどろになった汁椀と、牛乳、乳酸菌飲料やハイカロリーの栄養補助飲料など液体ばかりの味気ないものです。こんなものでも胃腸に貯まるのかという気もしますが、昨日は強力な下剤も出され、そして今日は浣腸による強制的な排便もあり、もはや体の中になにもないのではと思うくらいです。
万が一開腹して予定している処置ができないときに、ストーマをとりつけるためのマーキングもされました。おまじないだそうです。看護師さんに下の毛も剃ってもらいました。下腹だけかと思っていましたが、陰毛もすべて剃ってもらうというのですから、なかなか恥ずかしい思いもしました。
こうして身体の内も外もすっかり清められました。あとは心を清めようと思いますが、しかし、心を平静に保つのは容易ではありません。
麻酔の同意書、首の頸静脈にカテーテルを挿入する同意書、手術同意書、輸血同意書、血液製剤使用同意書…何枚もの同意書にサインをしました。どれも万が一の場合について書いてあります。そう、「絶対に大丈夫ではない」ことを確認する書類なのですから、気持ちがネガティブな方向に向いてしまうのも仕方がありません。
しかし、もはや医師や看護師さんを信頼し、生命を預けるしかないのです。どんなにくよくよしても事実は変えられない。死ぬか生きるかなど悩んでも自分でどうこうできるものではないのなら、今この時間に生きている自分の心が、一番自分の思うとおりになるように過ごすことが大切なのだと思います。それは今まで自分にかかわってくれたすべての人に感謝をすることであり、その気持を届けることだと思っています。本当にありがとう。皆さまに幸あらんことをお祈りします。
明日、ぼくは生まれ変わり、新しい人生を歩み始めるのでしょう。大きな苦しみや痛みが待ち受けているだろうけれども、生きている喜びを感謝の気持にかえて、苦痛を乗り切りたいと思います。
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