先日、CTを受けました。膀胱がんによる膀胱手術をしてから半年に一度受けている検査で、9回目になります。何回も受けているわけですが、検査が近づけばそれなりに緊張をします。検査にかかる時間はわずかなものですし、つらいものでもありません。けれども、その日が運命の分岐点になるかもしれない、と思う気持ちが緊張感を生むのです。CTによる画像診断が、再発や転移を発見する手段になるのです。
一般に5年がたてば、一安心と言われます。どんな病気でもその病気由来による生存率は1~2年で急速に落ちますが、その後は緩やかになり、5年たてばだいたい落ち着いてくるものです。ぼくももうすぐ5年であり、一応大丈夫な方に入りそうではあります。
けれども、再発、転移のリスクというのはゼロにはならないことは間違いありません。生存率曲線は5年たったら横ばいになるものではなく、緩やかになるだけのことです。膀胱がんの転移は、尿路や腎臓にとどまらず、リンパ節や肺にまで飛ぶ可能性があります。それを発見するためには、これからもCTによる画像診断が必要なのだろうと思います。
しかし、とふと思いました。
もし転移を発見したとして、それでどうなるのかということです。最初のがんであるならば、早期発見は意味があります。しかしぼくの場合、例えば肺に転移をしていたのが発見されたならば、それはすでに全身にがんが散っているということです。その場合、相当に治療の選択肢は限られてくることでしょう。CTで検査をしようがしまいが、結果は同じということもあるわけです。
だとしたら、CTで検査をする意味はあるのだろうか、とも思わないでもないのです。
それでも。
ぼくはこれからも検査を受けようと思います。半年ごとに感じる緊張感というものは、自分の人生にとって必要なものだと思うからです。本来なら、その日その日で人生が終わっても悔いのないように生きるのが理想ではあるのですが、そんな悟りはとても開けません。
しかし半年ごとに運命の関門が待ち受けていると、その時だけは、これまでの人生を振り返り、終わりの時を想像することができます。そして日々を大切に生きることを思い起こさせてくれるのです。外からの刺激がなければできないのが情けないのですが、CT検査は自分を律するための良い機会になっているのです。
次の検査は来年4月。手術から5年目になります。
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