第2クール第8日 ジェムザール2回目

点滴を打つ
今日はこのクール2回目のジェムザール投与の日です。午前9時半ころから生理食塩水の点滴がはじまり、ほどなくホルモン剤のデカドロンを30分点滴し、ついで抗がん剤のジェムザールを30分点滴しました。残りの生理食塩水を再び点滴して、午前中のうちにはすべての点滴を打ち終わりました。治療そのものはなんということもありません。痛くもなければ苦しくもない。しかし、後々に骨髄抑制があったり、食欲不振が湧いてくるのです。それがわずか100ccほどの点滴、実際にはほんのわずかな薬剤によって引き起こされるのですから、なかなか不思議に思います。

食欲は吐き気止めの薬効もあってか、今朝はようやくやや改善したのですが、今日の点滴でまた悪くなるのかもしれません。これもまた実に不思議で、入院直後はおいしく食べられて量も足りないくらいに思えていたのが、今や一膳のご飯を平らげるのにもいろいろ工夫をしてようやく食べているのです。気分的なものもあろうかと、気合を入れて食べてみたりするのですが、精神力だけではなかなか食欲は回復しませんね。

ぼくなどは、転移はあるともないともいえない状態で治療を受けているので、こうして不思議不思議で済ませることもできますが、一度転移が確定して化学療法を以って制するしか途がない状態であるなら、こう安穏と日々過ごしていられるだろうかとも思います。いや一方で、人間というのは案外タフで、今際の際までは毫も死ぬとも思わずに暮らせるものなのかもしれぬと思ったりもします。

実際、健康な人から今のぼくを見れば、大手術もして抗がん剤まで打っておるような病身では、その命数も限りあるように思われているかもしれません。しかし当の本人は、もはや天命ここまでなどとはちっとも思っておらず、明日もまた当然来るような気持ちで今日の退屈を嘆き、いかにして次の食事に立ち向かおうかなどと考えているのです。

人というのは案外どんな環境でも安楽に過ごせるものということを知り、他人の境遇を羨んだり、自分の幸せを押し付けたりしてはいけないと、こうして大病をし、齢を重ねることでようやく身にしみて感じることができたのです。これもまた万事塞翁が馬というものでありましょう。

次回金曜日には採血をして骨髄抑制がどれほどかはかり、結果が良ければまた外泊もできるかもしれません。

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